超ゲームウォーカー!

search

【予約開始!】最強のレトロゲーム互換機「レトロフリーク」は法的にアウトかもしれない

レトロフリークはアウトなのか?

ミンナニナイショダヨと言うわけにもいかない。

本日も超ゲームウォーカーをお読みいただきありがとうございます。
コウノ アスヤ(です。

サイバーガジェットが開発中のレトロゲーム互換機「レトロフリーク」の発売日が、2015年10月に決定したそうですね。

11種類のゲーム機用カートリッジを仕様可能な、レトロゲーム互換機」という触れ込みは、ガチなレトロゲー愛好者じゃなくとも「へぇ、なんか良さそうだな」と思えるぐらいのキャッチーさがあります。超欲しい。

ここまで聞くと、なにやら古いゲームを楽しめる良さ気なガジェットが発売される、という話で終わるのですが、そうじゃないというのが今日のお話。実はこのレトロフリーク「それぞれのゲーム機のデータを独自の技術で吸い出し、本体にデータを丸々コピー・保存して遊べる」という仕様だそうです。つまり、俗にいうエミュレーター・マジコンと原理は一緒

この仕様に、「違法だろ」というゲーマーや「古いゲームなんてこうでもしなきゃ遊べないから嬉しい」というゲーマーがチラホラ。実際のところどうなんでしょう。

11ハードのレトロゲー互換機「レトロフリーク」

レトロフリークの本体
レトロフリークの本体は、自称世界最小サイズということで、このような見た目。

ファミコンのカセットと同じ大きさみたいです。「え?超小さくね?」と思った方、ごめんなさい。レトロフリークは本体とは別に「11種対応カートリッジアダプター」というものを接続して使います。それがこちら。
11種対応カートリッジアダプター
ちょっと大きくなりました。こちらのサイズ比較は無いんですね。
とはいえ、それでも11種類のゲームが遊べると考えるとスーパー小さいですから、このサイズ感は嬉しい。

レトロフリークには、ゲームが遊べる以外にも「様々なハードのコントローラーが使える」「チートコードが使える」「HDMIで映像を出力できる」など、細々した魅力的な機能が沢山用意されてます。その辺りはサイバーガジェットのHPを見ていただくとして、今回この記事で焦点を当てたいのは「ゲームのインストール機能」です。

ゲームはインストールして遊ぶ

接続したカートリッジをインストール
カートリッジを接続せずにプレイ可能
レトロフリークの目玉は「11種類のゲーム機用カートリッジを使える」ことですが、問題はこの方法。公式HPによれば「接続したカートリッジからゲームをインストールすることで、以降はカートリッジを接続せずにゲームを遊ぶことができる」とのこと。「カートリッジの抜き差しが不要になる」「大切なカートリッジの端子の劣化を防げる」などのメリットがあるそうですが、どうやらこの「インストール機能」の雲行きが怪しいようです。

ゲームのインストールは違法?

個人的には、「また便利なもんが出るんだなー。ちょっと欲しいなー」と思ってたんですが、ふとこのような記事を目にしました。

11ハード対応の「レトロゲーム互換機」登場…違法ではないのかメーカーに聞いてみた – インサイド
※記事タイトルが後から変更されたようです。

当時の思い出深いゲームの数々を、より綺麗に楽しめる「レトロフリーク」。ですがこのハードは同社のオリジナル製品であり、「各社のライセンス製品ではありません」との表記も確認できます。

果たして権利関係などの問題はクリアされているのでしょうか。その点に関して編集部が独自に問い合わせてみたところ、「各ハードメーカー様のチップやプログラムは一切使用していないので、法律的には問題ありません。」との返答が同社より寄せられました。

まぁ、自社が製造している製品に対して「違法じゃないんですか?」と聞いて「違法です」と答えるような企業なんてあるわけないですから(笑)、サイバーガジェットがこう答えるのは当たり前じゃないですか。とはいえ、なにやら個人的に気になってしまったので色々調べてみました。

違法だろ!と騒ぐゲーマーも

マジコンは違法なのか
レトロフリーク、なかなかキャッチーな商品ですから、様々なニュースサイトや2ch系まとめサイトがこぞって記事にしてます。注目したのはそのコメント欄。

11ハード対応の「レトロゲーム互換機」登場…違法ではないのかメーカーに聞いてみた – Yahoo!ニュース

いやいや、アウトでしょw

レトロゲーム機の特許権は消滅していることから互換機の製造・販売は、法的な問題はないと主張されているが、実際に司法判断が示された例はない。

SFCなど11種ハードに対応するレトロゲーム互換機『レトロフリーク』は2万円で9月発売!? → 一部サイトが報じるも公式が否定 – オレ的ゲーム速報

これって違法スレスレの機械じゃんか。すぐ販売停止になりそうな気がする

エミュレーター自体は違法にならんだろうけど、ROMからデータを吸い出して本体に保存できる機能があるから、それが違法になるような気がする。

エミュレーター自体違法ではないし、吸い出して自分で遊ぶ分には問題ないはずだったが、元のゲームを処分したり、違法DLでプレイする連中が増えすぎたためマジコンは上記の理由があっても(販売が)違法となった。同様の理由でこれはマジコンなわけだから、販売は違法になる。

あげていったらキリがないのでここで止めておきますが(引用がまとめスレかよというツッコミは飲み込んでください)、”ネット上”には「黒なの?白なの?グレーなの?」といった話題が散見されます。

レトロフリークは違法なの?

まず、大前提として「レトロフリークはマジコンなのか」という疑問がひとつ。
マジコンとは、「テレビゲームのゲームソフトをコピー(複製、バックアップ)したり、またそのコピーやイメージファイルをゲーム機で起動させるための機械の総称」です。そういう意味では、紛れも無くレトロフリークはマジコンだと言えます。

そもそもマジコンは違法なの?

マジコン
マジコンマジコン連呼してますが、そもそもなぜマジコンは悪だとされているんでしょうか
Wikipediaによると、

著作物について、自身が個人的に、または家庭内およびこれに準ずる目的で複製する行為は、日本国内では著作権法30条1項(私的使用のための複製、以下「私的複製」と記述)により認められている。

私的複製の要件として、複製元の著作物の所有を求める規定はなく、所有の継続を求める規定も存在しない。また、送信可能化権や複製権を侵害した著作物の私的複製を妨げる規定も存在しない。

ゲームソフトもこの著作権の目的となっている著作物に該当し、そして私的複製も認められる。著作権者の許諾なき複製物の売買や無償配布など、この私的複製の範囲を超えた目的での複製は違法となる。

「データの複製をつくる」のは大丈夫だけど、「複製データを配る」のはダメだということですね。

マジコンが違法になるケース

オリジナルのソフトに何かあって遊べなくなるのを防ぐためにバックアップをとり、そちらを遊ぶ行為は違法ではありません。
しかし、オリジナルとコピーを異なる環境下で同時に遊ぶような行為が広まってしまうと、権利者の利益を損なう可能性が出てきてしまいます。インターネットにアップしたり、それを落として遊んだり、そういう事したらアウトです。

さらに、1999年10月の不正競争防止法の改正により「ゲームにかけられているプロテクトを意図的に解除する装置や道具の販売」自体も違法になりました。つまり「強引にデータを吸い出すような事をしたら、個人的だろうが違法。売る奴も違法」だということですね。

ゲーム業界はマジコンに「このやろー!」

ゲーム業界の動向に興味がある人にとっては記憶に新しいと思いますが、かつて任天堂がマジコンに対してキレて潰したり、ドラクエにマジコン対策が施されていたように、ゲーム業界にとってマジコンの存在は「権利を侵害し、利益の損害になる」ものです。もちろん、こういう状況はゲームだけでなく、著作物がデジタルデータとして複製できるコンテンツ以外ならなんでも起こりうる状況ですが、単価が高く、ゲーム機や流通などを含めた収益構造を持っているゲーム業界だからこそ、なおさら敏感にならざるを得ないと言うことですね。

そういう背景を考えると、今回のレトロフリークに対して、一部のゲーマーが「これは違法だろ」「マジコンじゃねーか」という声があがるのも、もはや予定調和でしょう。ゲームという文化を愛していればいるほど、遊べなくなったゲームを遊ぶのが難しくなっていくというジレンマ…。

レトロフリークは違法なのか

僕は法律の専門家などではないので完全な肌感覚ですが、レトロフリークは若干ヤバイと思ってます。「個人的に使う」ことをサイバーガジェットは想定しているようですが、このご時世一度ゲームのデータが吸いだされれば、それがネット上にアップロードされることは避けられないでしょう。というかそもそも、そういうことが出来る人は既にエミュレーターを使える環境下にありそうなものですけど(笑)

「吸い出すゲームカセット自体の特許や著作権が切れてるから大丈夫」みたいな眉唾な意見も散見されますが、どうなのでしょう…。

皆さんはどう思いますか?

レトロゲーと言えば、大体はファミリーコンピューター辺りからスーパーファミコン、セガサターンぐらいまでの世代のゲームを言うのでしょうか?定義は人によって違うとは思いますが、まぁだいたい「懐かしさを感じられるゲーム」ぐらいのものでしょう。積み重ねられてきた年月がまるでビンテージワインのごとく熟成されて、「思い出補正」や「ノスタルジー」といった付加価値で今なお僕らを楽しませてくれます。レトロゲーはまだまだガキな僕だって面白いですからね。リアルタイムで遊ばれていた方々にとってはコレほどのものは無いでしょう。

とはいえ、レトロゲーは今になって遊ぼうとすると、メーカーの製造がとっくに終わっていたり、中古価格がべらぼーな値段に跳ね上がっていたりして、名作であればあるほど入手するのが困難な状況です。任天堂のバーチャルコンソール、SCEのゲームアーカイブス、マイクロソフトのXboxアーケードなど、レトロゲーを遊べる環境は段々と整備されてきてはいますが、まだまだ遊べないゲームの方が多いというのが現状。

サイバーガジェットはこういった「遊びたくても遊べない」ゲーマーのために、レトロフリークを作ってくれたハズです。既に生産が終了しているゲームも多いんですから、侵害とか損害とかそんなん良いから遊ばせてくれよぉ!って思います。
遊びたいです。レトロゲー。

あ、レトロゲーを本当に愛しているなら、本体とソフトと出力できるモニターを買えって?

はい。

※6月22日追記:Amazonなどで予約が開始されたようです。Amazon限定ファミコン風カラー良いですねぇ!

Amazon限定カラー レトロフリーク

この記事をSNSにシェア

feedly Feedlyで購読

この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

アクセスランキング