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【レビュー】「シュタインズ・ゲート ゼロ」スピンオフを寄せ集めて”正統続編”と謳ってしまった罪

なにやらアニメ版の再放送において、展開の違う23話が放送されたらしい。そしてその世界線は、今度発売するシュタインズ・ゲート ゼロへと続くらしい。そんなニュースが僕のタイムラインに流れてきたとき「そうきたか」と思いました。

無印こと前作シュタインズゲートを遊んだのは数年前で、スピンオフの小説や漫画にはあまり手を出していないようなライトなシュタゲファン(すなわち、僕のような人間)にとっては、このギミックはこれ以上ない「餌」です。「ほう、そんならまた遊んでみてもいいな」レベルのモチベーションが湧くほどには、なかなか憎い演出でした。

そんなわけで、本来あまり買うつもりは無かった本作「シュタインズ・ゲート ゼロ」を購入するに至ります。

前作「シュタインズ・ゲート」

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前作「シュタインズ・ゲート」は、5pb.から2009年に発売したADVゲーム。過去に送ることができるメール「Dメール」を駆使した時間遡行モノで、過去を変えることで起こる「世界線の変動」をテーマにしたメチャクチャ面白いゲームです。ゲームという媒体に限らない、あらゆるタイムトラベルものと比べても絶対に上位に入ってくるほどに面白かった無印は、これが大ヒットしたのを期に、小説や漫画、ファンディスクなどでスピンオフ作品が多数(本当に多数)発売されています。作品本体だけじゃなく、様々な媒体による物語の展開で、ファンを楽しませ続けているシリーズです。

正統続編「シュタインズ・ゲート ゼロ」

紅莉栖を救うことができなかった岡部倫太郎は、過去の記憶に苦しみながらも、もとの日常生活に戻りつつあった。ある日、大学のセミナーで紅莉栖と大学で同じチームだったレスキネン教授と、その助手 比屋定真帆と出会う。そこで人間の記憶をコンピュータに保存し、それを活用するシステム「Amadeus(アマデウス)」の存在を知る。

講演の後、真帆に対して紅莉栖と友人だった記憶をうっかり漏らしてしまった岡部は、人工知能のテスターを頼まれることに。その人工知能にインストールされていたのは、他でもない「紅莉栖」の人格だった…。

前作を遊んだ人間なら、この導入をプレイした段階で既に”ゼロ”に引きこまれているハズ。ありえない設定を可能な限りリアルに描写する語り口、どこか危ない雰囲気を感じる設定。「これこれ、シュタゲってこういうゲームだったよな」とわくわくしました。

紅莉栖の人格がインストールされた人工知能のテスターに、岡部倫太郎が選ばれる。それは決して急な展開などではなく、無印で登場する「タイムリープ」の原理、そして紅莉栖が作成していたとされる「タイムマシンの論文」を考えると、非常に筋が通ってます。溢れ出るシュタインズ・ゲート感。無印から続いている続編として、これ以上ない幕開け!

ここから中盤までは、わくわくする展開がずっと続きます。

スピンオフで生まれた新キャラクター

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スピンオフ作品で登場していた新キャラクター達の多くは、”ゼロ”にも多数登場します。彼/彼女らは非常にキャラが立っていて、無印のラボメン達とくらべても遜色ない魅力を備えてました。特に比屋定真帆が良い!牧瀬紅莉栖という才能に嫉妬する存在、モーツァルトとサリエリに例えた両者の関係性は真帆というキャラクターの魅力・深みを引き立たせててとても上手い。プレイ済みの人たちの間でも人気が高く、本当に、キャラクター商売が分かっているなぁと感心しました。

え、かがり?お前だけは存在が微妙だったな!ライターを恨め!

中盤〜終盤にかける、ごちゃごちゃ感

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序盤〜中盤はシュタゲっぽさもあり、導入の上手さもあってとてもわくわくするんですが、物語が分岐し始める中盤から雲行きが怪しくなってきます。「人工知能」と「記憶のデータ化」、そして「タイムリープ」という要素が中途半端に絡み合い、個別ルートでそれぞれ別々に消化されてしまうのが原因でしょうか。

また、ところどころ設定の齟齬や無理のある展開があったりして、いまいち気分がアガらない。ブレがある立ち絵や、絵的に違和感のあるイベントCGなどのせいもあって、全体的に「なんかこれじゃないんだよなぁ」という感じが拭えませんでした。

今まで多数リリースされてきたスピンオフ達と辻褄を合わせようとして、「これがあれと繋がります」「ここは実はこうでした」的なものが多く、結局最後に残るのは「実はこうでしたモノ」の域を出られていないシナリオになってしまったなぁという感じですね。結局、完全体である無印を超えることは難しいということが改めてわかりました。良かったんだか悪かったんだか…。

あと、今作もフォーントリガーはご存命ですが、RINEの返答は全て分岐に関係ないので完全に蛇足です。

いいところもある

前作をプレイしているシリーズファンなら、アガらざるを得ない名シーンは確かにありました。まさかのタイミングであの人が登場するシーンとか、鳳凰院凶真が復活するシーンとか。ただ、それらも「そりゃアガるわ」というような展開で、”まさかの”展開では無かったのがちょっと残念でしたね。

あと、音楽は今回もすごい良かったですね。特に、”ゼロ”のメインテーマと無印のメインテーマがミックスされたアレンジ「Re-awake」なんかは、もう…どうしようもないくらい最高の曲でした。音楽の阿保剛さんアザす!サントラ出たら買いまっす!!

「正統続編」じゃなくても良かった

結局、面白くなくは無いんだけど、正統続編と呼べるほどのものでは無かった、という感じでした。比翼恋理のだーりん、線形拘束のフェノグラム、そしてシュタインズ・ゲート ゼロ、というスピンオフゲームの流れで発売していれば、もうちょっとプレイした人達の満足とは高くなったのではないかと思います。

自分でハードルを上げてしまった結果、無印をライバルの据えてしまったのが最大のミスでしょう。それでも、シュタゲファンなら「遊んで損はない」出来にはなっていると思います。さて、このモヤモヤは数多のスピンオフを嗜むことで解消しようかな!(沼の入り口)

買うなら初回限定のパッケージ版!

なお、初回限定版(パッケージ版)には無印のダウンロードコードが付いてくるので、DL版よりこちらのほうがおすすめです。PS4版のシュタゲを販売することは大人の事情で可能性ゼロらしいので、欲しい人は絶対初回版を買ったほうが良いです!(僕はDL版を買ってしまいました…。ミスった…。)

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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