超ゲームウォーカー!

search

【感想】映画「ビリギャル」 / 負け犬さやかのワンスアゲイン、脇役たちのワンモアチャンス

ビリギャル

今日も超ゲームウォーカーにお越し下さりありがとうございます。コウノ アスヤ(です。

有村架純が主演を務める映画「ビリギャル」を観てきました。

本作は、塾講師・坪田信貴による著作「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」が原作のノンフィクション映画。
僕はこの手の邦画は見る前から「面白くなさそう」と思ってしまうクセがあり、本作も例に漏れず「でたー!話題作を映画にしちゃう感じ、乙〜ww」などと鼻で笑ってました。

今となってはその鼻をボキボキにへし折ってやりたい気分です。この映画は、映画マニアもライト層も、老若男女問わず誰が見ても絶対面白いと感じる超名作だと断言します。

結末が分かっている物語


タイトルからわかるように、この映画には驚きの展開や、衝撃の結末なんてものは存在しません。なぜなら、タイトルで過程と結末を言っちゃってるからです!笑 「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」って、まさに映画の内容をそのまま言った感じ。

見る前から結末が分かっているのに面白い。これって相当すごいことやってるとしか思えないんですよね。

シンプルisベストを地で行く傑作

答案用紙・ビリギャル
見る前から結末が分かっているのに面白い。これは言い換えれば、劇中に起こるイベント一つ一つがとても面白く、それこそがこの物語の見どころだからでしょう。

名古屋の女子高に通うお気楽女子高生のさやか(有村架純)は全く勉強せず、毎日友人たちと遊んで暮らしていた。今の状態では大学への内部進学すらままならないと案じた母は、さやかに塾に通うよう言いつける。彼女は金髪パーマにピアス、厚化粧にミニスカートのへそ出しルックで渋々入塾面接に行き、教師の坪田(伊藤淳史)と出会う。

超バカなのに超ポジティブなさやかの一挙手一投足が最高に面白い。「さやか、ケーオーに行くことにした〜」「ケーオーって…どの慶応!?」という母娘のやりとりには思わずポップコーンを吹き出して爆笑しました。さらに、伊藤淳史演じる塾講師・坪田の「バカなところは否定せずに、良いところを見つけてそこを褒めて伸ばす」という、気持ちの良すぎる指導スタイルにも惚れ惚れする。
「さやかのバカさ」をネタにしてるのに、嫌味な感じが一切ないのは、さやか持ち前のポジティブさ、そして坪田先生の指導スタイルのおかげでしょう。大バカな解答に後ろの生徒達が笑った時も、「ウケた♪」と超前向きなさやか。マジで見習いたい。

聖徳太子
とにかく、全編通してさやかと坪田先生のやりとりが楽しすぎました。「どうせ合格するんでしょ」という白々しさなんか一切感じられないし、むしろ「どうやったらこんなバカが慶応に合格するんだ…?」という疑問が物語の推進力になってます。さやかと坪田先生、この二人のやり取りをしっかり面白く描けているからこそ、ずっと飽きずに見続けられる。というかほんと、この有村架純と伊藤淳史は名演技すぎる。

勉強するさやか・ビリギャル
けどやっぱり言いたいのは、主演の有村架純がすごい可愛いということ。有村架純のアイドル映画としての出来栄えも最高ですね。
表情豊かで、見た目も中身もどんどん変わっていく女の子を見事に演じてます。へそ出し金髪ギャルから黒髪ジャージ地味子まで、一つの映画でこんなに沢山の有村架純を見ることができる作品って他にないんじゃないでしょうか。もはや奇跡ですね。なんででもいいます。有村架純が可愛い。

とてもスマートな語り口

さやかと坪田先生・ビリギャル

初めはなんとなく塾に通うさやかだったが、自分をクズだと見下す大人たちを見返してやるために必死の勉強を始める

ここから、どんどん物語が加速度的に面白くなっていきます。話題のマッドマックスさながら、全てのシーンでちゃんと物語が進んでいるし、キャラクターの掘り下げにもなっていて感心しました。一見サービスシーンであろう女の子4人の温泉シーンですら、しっかり意味のあるシーンに仕上げてきてるのだから信用できる。(いや、サービスシーンでもある、と言ったほうが正しいです。ごっつぁんです。)

あと、「ありがとうお母さん!うえーん!(号泣!)」「はい!ここで感動的な音楽ドーン!」みたいな邦画にありがちなくっさい演出が無いのもいいところです。僕が一番グッと来たシーンですら、「母親の支えを悟ったさやかの目が潤んで赤くなる」という温度感。カラっとしてて最高だ。

脇役たちの成長物語でもある

さやかの両親・ビリギャル
この映画の面白いところは、負け犬さやかのワンスアゲインものであるのと同時に、脇役たちのワンモアチャンスものでもあるという、非常に何層にも重なった面白い映画になっているところ。

勉強を続けていくにつれてさやかは、「自分は沢山の人に支えられていて、同時に沢山の人に影響を与えている」事に気づく。この「頑張る人」そして「それを見て頑張ろうと思う人」の構図が上手くできていて、しかも一つ一つ抜け目なく良い話になっているところが憎い。さやかと母親、母親と父親、父親と息子、姉と妹、先生とさやか、さやかと同級生…あげていくとキリがないくらい多くのドラマが詰め込んであります。もう、上手すぎて言葉が出ない。

嘘だと思われるかもしれませんが、上記の関係に起こるドラマがすべてちゃんと面白いんですよ。グッとくるし学びもある。さやかの頑張る姿、そして強い意思には少なからず見る人も影響を受けるハズだし、彼女の気持ちも「受験」という題材によって、かなり理解しやすいものになってるハズ。だからこそ結末の「合格」に至るまでの物語がぐぐっと心に響いてくる。

意思あるところに道は開ける

細かいところで言えば、弟のあの落ちぶれてないけどどこか才能無い感じとか、父親のムカつきっぷりとか、母親の親身なんだけどちょっとダメっぽい感じとか…良いところが沢山あるんですけど、ありすぎるので全部書けません。

劇中で坪田先生が口にする「意思あるところに道は開ける」という言葉は、この映画のテーマでもあるし、さやかのストーリーそのものでもあります。

見終わって思いますが、つくづくコレが「実話に基づく物語」だというところがすごい。さやかの頑張る姿に「俺も頑張ろう」って思えるし、必死に頑張るのもたまには悪くないなって思える。

そして、いつもどこかで自分を支えてくれている人がいるんだなと気づくことができるし、なにより家族・両親への感謝の気持ちも思い出すことができるという…書いてて恥ずかしくなってきた。

公開してからかなりたっているので、もうやってない劇場も多いと思いますが、音楽も素晴らしいのでぜひ劇場で見てもらいたい映画です。とにかくビリギャルは素晴らしい。何度だって見返したいし、全ての年代の全ての人におすすめできる傑作です!

この記事をSNSにシェア

feedly Feedlyで購読

この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

アクセスランキング