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【感想】bloodborne(ブラッドボーン)/ 自分自身が成長することで成立する、絶妙なゲームバランスが素晴らしい

ブラッドボーン

ブラッドボーンクリアしましたー。いやー疲れたな。
なんだったんだろうこのゲーム。あまりの難しさに心が折れかけたり、でも「ちくしょー!」ってなってまた再開したりして、クリアまで長いことかかっちゃいました。

それほど難しさのバランスがよく出来てたってことなんですよね多分。
今回はそんなブラッドボーンの感想をつらつらと書いていきます。

ダークソウルからの系譜


まず大前提として、このゲームは「デモンズソウル」「ダークソウル」「ダークソウル2」の系譜を踏んでいるフロム・ソフトウェアのマゾゲーシリーズです。このシリーズはゲーム界屈指の高難易度なゲームとして有名で、プレイヤーはその歯ごたえをむしろ求めているというような構図があります。

前3作が剣と魔法のドラゴンファンタジーだったのに対し、ブラッドボーンは打って変わってゴシックホラーな世界観。「暗い」「グロい」「気持ち悪い」「でも美しい」という絶妙な案配のアートワークに惚れ惚れします。

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うーん、これぞゴシックホラーといった感じ。最高。

ストレス溜まりまくり!でも面白い

死にまくる
まずこのゲーム、「こちらの攻撃で敵が怯まない」「敵の攻撃3発で死亡」「集団で襲われる」などの鬼のような洗礼を序盤から受けます。そして死にます。ザコ敵ですらそのレベルで、ボスなんか何回も死にます。

アクション映画のように、群がった敵が空気をよんで順番に襲ってくるなんてことはありません。みんな同時に襲ってきます。そして死にます。死ぬ、戦う、死ぬ、戦う…すげーつらいです。

しかも、ストーリーがメチャ暗いです。お姫様を助けるとか、世界を救うとかそういう目的は無い。病気になった主人公が医療を求めてヤバイ街に来るんだけど、そこでヤバイやつにヤバイ血を輸血されて強制的にヤバイことさせられるっていうヤバイストーリー。(意訳)
暗いストーリー
なので、プレイヤーが頑張るモチベーションもそこまで無く、序盤は本当に苦行。ただそこは、重厚な世界観と美麗なグラフィックで間が持ってました。背景、キャラクター、音楽、効果音、全てが素晴らしい。

ある時ふと、「あれ?面白い…」

でもここで「ちくしょう。どうやったら勝てるんだ…」という思考にスイッチが入ると、可笑しいかな、面白くなってくるんですよね。武器の性能や、技のクセを覚えて身体に叩き込み、敵の動きをしっかり見極めて回避し、無駄のない動きで敵を倒す!今までボコられてた相手にも、段々と勝てるようになってきて、

「俺、成長している…」

と思わず声に出してしましました。そう感じた瞬間、このゲーム上手い作りだなと思うわけです。

攻撃は最大の防御「リゲイン」

リゲイン
ブラッドボーンでは、前作まで存在した、盾で相手の攻撃を弾いてチャンスを生み出す「パリィ」というシステムが盾ごと廃止され、両手に武器を装備するようになっています。そして生み出された新たなシステムが「リゲイン」。これは、攻撃を喰らった後数秒間の間に相手に攻撃をヒットさせると、ライフゲージを回復させることができるシステムです。

このおかげで「とにかく防御」という戦法がとれなくなり、避けて、攻め!くらったら、攻め!といったアグレッシブなプレイスタイルを促しています。

この「リゲイン」がとてもジレンマで、攻撃(回復)するか避ける(ダメージ)かを常に判断しながら戦うのがとてもおもしろかったですね。

うわ喰らった…!かまわん、リゲインを狙って攻撃続行だ!→死亡

レベルやステータスよりも、己の技術を上げろ

レベル上げ
昨今のゲームはなんというか「おもてなし」が素晴らしいですよね。遊びやすさ、快適さ、初心者救済。たしかにそれらは立派ですが、けれどどこかで「ぬるいな」と思うわけです。そういう意味ではブラッドボーンにおもてなしなんて一切なく、全てがフロム・ソフトウェアからの挑戦状。それでいて、理不尽な難しさじゃなく、上達すれば苦戦してた敵もあっさり倒せるようになるというバランスが素晴らしかったです。

このゲームに、「とにかくレベルやステータスを上げれば勝てる」なんて甘さはどこにありません。ザコ敵ですら強くて倒せないのだから、レベル上げですらひと苦労。しかもレベルをあげてもステータスはそこまで大幅に上がらないんですよ。けれど、それを繰り返していくうちに、確かに自分の操作は上達し、敵の動きを見極められるようになり、立ち回りが変わってくる。上手になってくると、初見の相手でもちゃんと倒せるようになるのです。(それでももちろん死にまくります。死ぬのは大前提です)

暗いし、グロいし、難しいし、なんで俺このゲーム遊んでんだろ…って思う時もありますが、「自分が成長した感じ」を感じれた瞬間、一気にこのゲームは面白くなります。そういうゲームです。

ただし、ボスを倒そうが。ステージをクリアしようが、「おめでとう!」的な褒めの演出は皆無なので、そこも容赦無し。ラスボスを倒した時ですらエンディングはあっさり「しかも釈然としない」のでw

なんだか自分との戦い。高校の部活みたいな時間だったなぁ(白目)

引き算で作られている気がする

ストーリーが暗いし、あっさりだと書きましたが。決して薄いとは思いません。むしろ、ブラッドボーンの世界はとても作りこまれていて、登場人物やザコ敵、ボスキャラに至るまでしっかり設定が練りこまれています。それらをデモムービーなどで長々と語らない潔さは、帰ってゲームプレイに集中させてくれる。無駄なものを排除し、フロム・ソフトウェアがやりたいこと、ユーザーが求めていることをうまい具合にバランスよく練り込んだ、上質で硬派なアクションゲームでした。

けど、あまりにクリアまでが辛すぎてもう一度プレイする気には、しばらくなれそうもないです。笑

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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