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映画「ビデオゲーム THE MOVIE」はゲームの歴史と文化を概観できる上質なドキュメンタリー

コウノ アスヤ(です。

ビデオゲームの歴史や文化をドキュメンタリーとしてまとめた映画「ビデオゲーム THE MOVIE」を見ました。ゲーム文化はまだまだ歴史が浅く、こういった真面目なドキュメンタリーって結構珍しいです。

ゲームを扱ったドキュメンタリーといえば、インディーゲームの作者を追った「Indie Game: The Movie」がすごい良かった記憶が新しいですが、ついにビデオゲームの文化そのものを扱った映画を観ることができて僕は幸せです。

クラウドファンディングで世界中に公開。日本でも

タイトル画面
まずこの映画、成り立ちがアツいのです。ゲーマーを自称する映画監督ジェレミー・スニードが、クラウドファンディングによって10万ドルもの資金を調達し作成されたこの映画は、まさに「ゲーマーがゲーマーの支援を受けて生み出されたゲーマーの為のゲーム映画」と言えます。

映画序盤からしていきなり「ゲームの親」は誰だと思う?という質問に対して、「ノーラン・ブッシュネルだろう!(PONGの生みの親)」とか、「宮本茂だろう!」とか言ってて、「あー、これは配給会社は付かないな…w」と思うレベルのマニアックな内容っぷり。こういう内容の映画が製作・そして公開までこぎつけたという事実にまず喜びを覚えずには居られません。

4つのテーマで構成されている、親切なつくり

vgtm02
内容はマニアックですが、映画自体の語り口はとても親切な作りでした。
40年という浅い歴史ながらとても複雑で濃密な文化を形成しているゲーム文化ですが、この映画はすごい上手にわかりやすくドキュメンテーションされていて、多分ゲームにそこまで詳しくない人が見てもゲーム文化を大体理解できるような作りにすらなっていると思いました。

ゲーム文化は、技術の進歩や環境の変化によって、その存在がどんどん変化していくものなので、単に「こういう感じの歴史です」という1本の描き方をしても、絶対にややこしくなりますからねー。

第1章 歴史

ATARI社 PONG
第1章では、ゲームの「歴史」が描かれます。「何年にこのゲームが出た。こういうゲームが流行って、こういう社会現象が起こった。」といった事実を時代順に並べつつ、様々な著名人が当時の思い出やゲームの魅力を語ります。ここで、小島監督や小野Pも登場。あぁ、日本人もちゃんと出てる…と感動しました。米任天堂のレジー社長も登場していて、「初めて遊んだのはスーパーファミコン」だと語っていたりして、意外と知らない情報も語られていて興味深かったです。

第2章 文化

eスポーツ
第2章では歴史から離れ、もう少し広い視点から「ゲーム文化」が語られます。ゲームの技術を競う「eスポーツ」と呼ばれる競技や、世界初のゲームの大会、あるいはインターネットの登場によりゲームが人々にもたらした恩恵と可能性など、ゲームって良いなぁと思える章になっていました。

ただこの章では「本や映画では◯◯できるだけだが、ゲームでは△△だ」みたいな言い方が多かったのが個人的に気になりました。この辺りは監督の意向が反映されてそうですが「ゲームは他の文化より優れているんだ」みたいな言い方は、本も映画も好きな僕からすると「ちげーだろ」と言いたくなったりもしましたね。

第3章 創造

リッチな表現
「シナリオ」「音楽」「絵」「映像」「プログラミング」「インターネット」など、ゲーム製作には多くの表現とそれを生み出す人間が関わってます。第3章では、そういった部分がフォーカスされています。僕はゲームを遊ぶ時に「ストーリー」を重視しちゃう人間なんですが、この章において語られる「ゲームに物語がついたことで、その体験はより劇的でドラマティックなものになった」という部分において、そうだよなぁそうだよなぁと頷きながら見てました。

ただそれも、様々なアーティストと技術者を集って、それぞれの創作活動を1つのパッケージに収めた結果のものなので、この章によって僕は改めて「ゲームは総合芸術である」という考えを深くしました。

第4章 未来

ゲームの未来
第4章のテーマは「未来」で、ゲームのこれからの可能性について語られていました。スマートフォンやVRの登場や、そしてインターネットのさらなる普及によって、これからもゲーム文化は進化していくでしょう。そこには、まだ僕たちが創造もしないようなステキな体験が待っているハズだし、ゲーム開発者達はそんな未来を描きながら今もガンガン新しい技術や表現技法を追求し、僕たちはそれを楽しみに待っています。

最後の章が未来にむけた作りになっているため、見終わった後の気持ちよさが半端無くて、「あ、やっぱ俺ゲーム好きだわ。ゲームサイコー!」みたいな気分になっちゃいました。

ゲーム文化の歴史を知るには最高の一本!

マニアックな内容をわかりやすくまとめつつ、コアなゲーマーの「そうそう!そうなんだよ!」といった共感を呼ぶ内容にもなっているので、ライトなゲーマーからコアなゲーマーまで幅広く楽しめるドキュメンタリーになっていると思います。
あまりにもこういう映画が少ないので、若干贔屓目な感想になっている感も否めませんけど笑

ただ、この映画、字幕の量が尋常じゃないのでちょっと観るのが疲れます。できれば吹き替えで見たかったけど、それは贅沢な要望ですねー!

ビデオゲーム THE MOVIEは現在DVDが発売中、Youtubeでも有料で視聴することができます。

ビデオゲーム THE MOVIE – Youtube

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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