【省略と誇張の美学】アニメ「リトルウィッチアカデミア」の尋常じゃない和製アニメ感
こんにちは!今期のアニメは「冴えない彼女の育て方」が一番好きなコウノ アスヤ(@asuyakono)です。
加藤可愛いな〜。僕にもメガネ買って〜。
さて、アニメと聞くと最近チラつくのが、クール・ジャパンとかいう言葉。
日本の文化を世界に発信するプロジェクトだそうですが、このアニメを発信せずして何を発信するか!
今日は、続編も決定した神アニメ「リトルウィッチアカデミア」を紹介します。
日本でもアニメ好きの間では話題になり、そして海外でも大人気なこの作品。
いったいどこに魅力があるんでしょう!
どんなアニメ?
幼い頃に見た魔法ショーで魔法の魅力に取り憑かれ、ヨーロッパの魔女育成名門校「ルーナノヴァ魔法学校」に入学したアッコ。大きな期待とは裏腹に日々の授業は意外と退屈。保守的な魔法界の雰囲気を打ち破り、魔法に夢を取り戻そうと張り切るアッコだが、周囲の目は冷ややかで授業でも空回りの連続。唯一の味方はルームメイトで親友のロッテとスーシィの2人だけ。 そんなある日、学校でとんでもないハプニングが発生。思いがけず事件解決の鍵を握ってしまったアッコは、ロッテ、スーシィ達と共に学校崩壊の危機に立ち向かう!
リトルウィッチアカデミアは、2013年に文化庁の若手アニメーター育成プロジェクト「アニメミライ2013」で発表された25分の短編作品。
トリガーという制作会社が作っていて、ここは最近だとキルラキルを制作していたことで有名ですね。
監督・キャラクターデザイン・作画監督を担当するのは吉成陽さん。
セーラームーン、エヴァンゲリオン、鉄人28号、グレンラガン、アイドルマスター、キルラキルと、名作の名シーンをいくつも担当している僕の大好きなアニメーターです。
このアニメは何がすごいの?
僕はこのアニメの「王道的な展開をしっかりと25分程度にまとめあげつつ、”魔法少女”という文脈への祝福で満ち溢れている」ところが大好きなんですが、リトルウィッチアカデミアの1番の特徴は、その独特な動き!
何かが動いたり、変形したり、消えたり、現れたりする、その一つ一つの動きがとにかく気持ちいい。ライムスターの宇多丸が、けいおん!!の評でそのアニメーション作画を「純アニメ的気持ちよさ」と表現していましたが、今作もまさにそれ。
海外アニメには無い、日本独自の空間や間の取り方がそこにあります。
では、この「動き」について、すこし掘り下げてみましょう。
フルアニメとリミテッドアニメ
日本のアニメの特徴の1つに「コマ割り」があります。
これは、ザックリ言うと「1秒間を何個に区切るか」ということ。
昔からアニメ作品は、長いあいだ映画フィルムが使われていて、それが1秒24コマで撮影されていました。
海外のアニメ、特にディズニーアニメなどは顕著ですが、24コマを24枚の絵で描くのが普通です。
ヌルヌル~っと滑らかに動くのはそのため。
これがフルアニメーションとよばれる描き方。
逆に日本のアニメは、1秒を8枚〜12枚の絵で描いており、1枚の絵で数コマを埋めるように描かれます。
これは、日本では戦後のアニメ創世記において、手塚治虫がアニメ「鉄腕アトム」を、低予算(少ない枚数)で作るために、採用された手法です。
始まりと終わりをしっかりと描き、その間のコマを省略して動きを表現する。
これがリミテッド・アニメーション。
同じ動きでも、コマに対する絵の枚数で実際に感じる動きのイメージや、気持ちよさは異なってきます。
では、リミテッド・アニメーションはなぜ気持ちいいんでしょうか?
省略と誇張
動きのある絵を、制限された枚数で描こうとするとどうなるのか。
フルアニメとリミテッドアニメを比較した動画があります。
リミテッドアニメ風表現のためのモーションタイミング調整法
いかがでしょうか。
フルアニメにくらべて、動きに強弱がついて、強調されていませんか?
始まりと終わりの絵は同じなのに、真ん中の絵が省略されることで、動きに迫力が出たり、気持ちよさが出たりするんです。
すごいアニメーターは、この「省略」と「誇張」のタイミングの選択が上手なので、キャラクターが生き生きと動きます。
そしてそれは、海外のアニメ(フルアニメ)には無い、日本のアニメ特有の気持ちよさに繋がっていきます。
デフォルメされたキャラクターデザイン
もう一つ、キャラクターデザインについて。
リトルウィッチアカデミアのキャラクターデザインは、結構クセのあるデザインだと思いますが、これ、実は超良いデザイン。
僕は大好き。
最近のアニメやゲームでは、割りと綺麗に整っているキャラクターデザインが流行です。
それはそれでもちろん素晴らしいし、実際に僕も萌え萌えしてキュンキュンしてるのですが、それとは対象的に、「キャラクターの特徴や個性を強調してデフォルメしたデザイン」というのは、リミテッドアニメととても相性がいいんです!
たとえば、近しいキャラクターデザインでいえば、こちらの作品。
フミコの告白」Fumiko’s Confession
2009年にアニメ業界を震わせた超クオリティな自主制作アニメ。
フミコが泣き叫んだり、坂を駆け下りるシーンではかなりデフォルメがされていて、顔や足が歪んだりしています。
これは、こうすることでそれぞれの動きに強弱が出るから。
日本のアニメは、この強弱をさらに誇張させてグニャっと歪ませたり、極端に動かすことで、気持ちよさを出しています。
リアルなキャラデザだとこういう表現の仕方をするととても違和感がでますよね。
さらに、近しいキャラデザの海外製ゲーム
Skullgirls Launch Trailer
こちらは、2012年に発売された2D格闘ゲーム「スカルガールズ」。日本の2D格闘ゲームにインスパイアを受けたらしいこのゲームも
超リミテッドアニメ感のあるキャラデザとアニメーションで、気持ちよさが段違い。
どうですか?キャラクターデザインや動きが、どことなく似ていませんか?
多くの人が気持ち良いと感じるアニメには、共通項がたくさんあるんです。
面白いですよね!
リミテッドアニメは、難しい!
僕はアニメーターでは無いので、えらそうには言えませんが、リミテッドアニメはとてもむずかしいんです。
実写を取り込んで、24コマ書き写せば、フルアニメーションになりますが、リミテッドアニメを書こうとすると、どこを省略してどこを強調すればいいのかわからなくなる。
ちゃんと対象の動きや、それを観てお客さんがどう感じるかを考えて描かないといけませんから。
そのあたりが上手な人が「神アニメーター」などと呼ばれて、アニメ的気持ちよさが宿った良質なアニメを世に送り出してくれるのです。
ちなみに、そんな吉成曜さんの担当作品とシーンをまとめた動画はこちら。
「誇張」と「省略」そして「キャラクターデザイン」に注目して見てみてください。
続編も決定!
公開された2013年の夏に、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で制作費62万5518ドル(約7400万円)を集めたことは話題になりましたが、今年、ついに、続編が公開されることが発表されました!!!
世界観もキャラクターも同じで、だいたい40分くらいの作品になるとのことですが、今から楽しみですね!
それにしても、リトルウィッチアカデミア…なんでソフト化しないんや!