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【レビュー】PS4版「グラビティデイズ」重力を操作して町人を助ける、魔女の宅急便ゲー!アクションはあと一歩

コウノ アスヤ(、空に向かって、落ちる。

空から少女が落ちてくる」というシチュエーションは、冒険活劇やボーイミーツガールな物語では定番の燃え展開ですよね。では「空に少女が落ちる」というのは?多くはありませんが、まだ、見たことありますよね。それじゃあ「自由自在に空に落ちる少女」というのはどうでしょう?聞いたことありませんよね。ただひとつ、GRAVITY DAZEを除いて。

空から落ちてくる少女は、必然的にだれかに受け止められる「守られる存在」として描かれますが、GRAVITY DAZEの主人公キトゥンは、重力を操るその力を使って、自分以外の全ての存在を守ろうとします。お人好し?無鉄砲?まるで少年のように無邪気に空を駆け、壁を駆け、天井を駆けながら世界を救おうとする少女に、僕たちは新たな「女の子像」をみる。

おかえりキトゥン!PS4へようこそ!

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もともとGRAVITY DAZEは2012年にPSVita向けに発売されたアクションゲームです。当時から遊びたい気持ちはあったし、3年間ずっとその気持ちは変わらなかったんですが、いかんせん「他にVitaでやりたいゲームがない」「Vitaごと買うほどでもない」という理由で、これまで一度も遊んだことはありませんでした。

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しかし!続編であるGRAVITY DAZE2の発表と同時に、オリジナル版のリマスターがPS4向けに発売される事が決定し、その瞬間、PS4所有者である僕の運命は定まったのでした。全DLCを収録、60fps化、グラフィック強化だなんて、もう、ねぇ。不可避ですよ不可避。

自由に空を飛ぶのではなく、自由に空に落ちる

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このゲームのキモであるシステム「重力アクション」は、ふわっと浮く、向きを決める、そこに向かって落ちる、というとてもシンプルなもの。空を自由に飛べるようなゲームよりも、かなり操作が簡単で良い感じです。壁や天井を自由に「地面」とすることで、作りこまれた巨大な町並みがグリグリと回転し、視界の中にとんでもないスペクタクルが繰り広げられるのは、このゲーム最大の快感であり魅力ですね。リマスターされ、美麗なグラフィックかつ大きなテレビ画面で遊べるようになったということで、リマスター版の恩恵はデカイです。

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天地が逆転したり、町自体が回転するようなスケールのギミックは、なんというか問答無用でワクワクしますね。インセプションのあれとか。

シームレスに広がる街、落ちるだけでもはや楽しい

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本作のフィールドは、ローディング無しのシームレスなマップになっています。しかもとても広いので、重力アクションをつかって街を縦横無尽に飛び回るだけでもすごく楽しかったです。

キトゥンの能力を強化するために使う「ジェム」というものが、街中に散りばめられているのですが、それを集めるのが作業的になりにくい。マリオのコインみたいなものだけど、それ以上に配置してある場所が様々で探すのが楽しくなります。

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物語序盤とゲームクリア後は街の人をお手伝いするサイドミッションが繰り広げられるのですが、それもけっこう楽しい。空に囲まれ宙に浮いている知らない街で、人々のお手伝いをするって、ちょっと魔女の宅急便っぽくてウキウキしますよ(笑)

もちろん、高いところに登るだけで楽しいし、さらにそこから落ちるだけでも楽しい。重力の力を使って、街中を滑りまくるのもの楽しい。とにかく、フィールドを動きまわってるだけで楽しいんです。

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ポイントを通過していってタイムを競うミニゲームがあるのも嬉しい。

戦闘にもう少し、バリエーションを

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地上での連続キック、重力落下中の重力キック、そして若干派手さに欠ける必殺技。これら自体がつまらないわけではないですが、できることが少なく単調なために、中盤以降で飽きてきます。どれだけ形が変わって、攻撃方法が変わっても、基本は「避けて重力キック」するだけ。敵たちは種類こそ多いものの代わり映えしない見た目で、それらの倒しかたが全て「コアを攻撃する」に尽きてしまっているのが原因でしょうか。敵はいっそ「きもち良さを感じるためのオブジェクト」として捉えて作ったほうが良かったんじゃないかと思います。ものを掴んで投げ飛ばす重力グラブとか、もうちょっと使って欲しかったなぁ。

あと、敵が襲ってくる理由などが最後まで明らかにされないので、余計に戦闘にモチベーションが沸きませんでした。「なんでお前らと戦わなアカンねん!」って。

しかし、エリアボス戦は楽しかったです。街なかを動き回る巨大な敵を追いかけて縦横無尽に空を飛び回ったり、建物の壁に張り付いて攻撃をやり過ごしたり、戦っていると自然と視界もグリングリン動くから気持ち良よかったのかな。

「できることを制限」して難しくするな!

このゲームは、携帯機だからなのかできるアクションが少なく、そして増えていきません。なので基本的に、ゲームを進めていくと既に使える能力や、今まであった環境を制限する形でステージの難易度を上げるようなゲームデザインになってます。エピソード10の「好奇心猫を殺す」とかが顕著かな。別にこれが、すごいつまらないというわけではないですが、こういうやり方はやり込みとかおまけ部分でプレイヤーのこてしらべ的に使うべきでしょう。重力スライドでのカーレースっぽいステージとか、重力グラブでものを運ぶとか…ああいうのをもっとバリエーション的に増やして、それでどんどんステージを難しくしていって欲しかったです。

音楽が綺麗すぎて、もはやゲーム音楽ではない

ピアノとアコーディオンの戦慄が耳に残るテーマ曲を初め、フィールド曲や戦闘曲など全体的にサウンドトラックがとても素晴らしいです。作曲の田中公平さんは、音楽プロダクション「イマジン」に所属している音楽家の方。あのサクラ大戦シリーズの楽曲をはじめ、エンドオブエタニティなど多くのゲームの作曲をしている方です。ゲーム以外にも、アニメや映画、特撮など幅広く取り扱っていてすごいなぁと思う反面、ゲームっぽい音楽にいま一歩なっていないというか、ゲームプレイをお膳立てするようなミュージックになっていない感じが少しだけしました。テーマ曲以外が耳に残りにくいのがその証拠かも。確かに曲としてとても綺麗だし、サントラも買いましたが、ゲーム音楽としては、ちょっとクセが弱いかもしれません。

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キトゥンに萌え萌え、そして、燃え燃え

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街の人々は超絶無個性の人形のようですが、その半面、メインキャラクター達はみんな個性的で魅力があります。特に主人公のキトゥンはヤバいです。表情豊かでちょっと抜けてて、でも正義感は強くて優しい。プレイヤーは彼女に感情移入しつつ、プレイヤーとして彼女を応援したくなるはずです。

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デモシーンで使用されるアメコミ調のイラストや、会話シーンでの表情絵などがとても素晴らしく、ポリコンの演技だけじゃ賄いきれないキャラクターの表情などをカバーしていて、いいバランスだと思いました。

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彼女の物語は発売を控えているGRAVITY DAZE2で完結するらしいので、どのように成長していくのか見ものですね。

シナリオは全体的に「ふーん」感がつよい

どうやら大きな謎が世界に存在すること、単純なシナリオで無いことは伝わりますが、語り方が下手くそというか「それっぽい感じを出そうとして失敗してる」感じがするので、イマイチ、テンションがアガりません。全体的に「ふーん」感が強いです。キトゥンが魅力的で助かった…。

ゲームを進めていくとどんどん世界の謎に迫っていくような物語になっていますが(迫れてないけど)、それよりも街の人たちを助けたり手伝ったりしてた頃のほうが、世界に肉薄した感じがあって良かったですね。段々とキトゥンの知名度が上がっていく感じは、空を飛んで、人を助ける魔女の宅急便の主人公になった気分。暗くなる後半のシナリオ部分よりも、前半の明るいテンションをもっと続けて欲しかったです。

メイド手伝いなどのサブシナリオの方が楽しいw

次回作、超期待!

アクションが少ない、街の人々が人形みたい、といった不満点は、次回作GRAVITY DAZE2で解消を試みているようなので、期待です。重力アクションによるスペクタクルは、PS4のスペックを生かした高品質なグラフィックとスケール感でよりレベルアップするはず!

今回、このリマスター版で初見プレイでしたが、VITA版プレイヤーは3年も前にこの体験をしていたのかと思うと、激しく後悔!食わず嫌いせずに遊びたかったらハードごと買うべきでした…。まぁでも、初見プレイをPS4の綺麗なグラフィック、テレビの大きな画面で遊べた、というところは、Vita版のプレイヤーに自慢できるポイントかな…笑

色々不満点も上げましたが、3年前の携帯機、そして新規IPということを考えると驚きの出来ですね。今からでも遅くはありません。いや、2を控えている今だからこそ、綺麗に生まれ変わったグラビティデイズを、あなたも遊ぶべきです!

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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