超ゲームウォーカー!

search

【足の裏に銃】個人製作ゲーム「DOWNWELL」が成し遂げたゲームデザインの真髄

コウノ アスヤ(です。

最近、通勤中にDOWNWELLというゲームを遊んでいます。自分の足下に弾丸を放つ「ガンブーツ」と呼ばれる靴を履き、永遠に続く井戸を下に下に潜っていくゲームなんですが、いやぁ、これが面白い。そして、よく出来ている。非常にシンプルなゲームなので、あれこれ語ることはあまりないんですが、あのスプラトゥーンにも通じる「これこそがアイデアだ」と言いたいゲームデザインを紹介せずにはいられません!

突如現れた、謎のゲームDOWNWELL

2014年9月。国内のインディーゲーム開発者が集まるイベント「Tokyo Indie Meetup」でプロトタイプがお披露目され、瞬く間に注目を集めたDOWNWELL。白と黒、そして赤の3色で構成されたファミコンライクな見た目もさることながら、「真下に弾丸を放ちながら穴を降りていく」という、他に例を見ない、しかし無駄の無い秀逸なゲームデザイムが、世界中のゲーム開発者の心を奪いました。

制作したのは、会社でもチームでもない、たった1人の大学生「もっぴん」さん。なんとDOWNWELLが初めて作ったゲームだったらしいです。なんとまぁ、尋常じゃない出で立ち。そうとう努力なさったそうです。

足の裏から銃弾を打ちながら、ひたすらに潜る

downwell01

ゲームの目的はいたってシンプル。出来るだけ深く、井戸に潜ること。プレイヤーは主人公を操作して、横移動、ジャンプ、足下への射撃を行うことが出来ます。そして、敵にあたるか、罠にやられるとライフポイントが減ってゆき、0になるとゲームオーバー。その時点でのスコアを競うゲームです。ステージ構成は毎回ランダム。記憶や攻略情報は役に立たず、頼れるのは自分の腕のみ!

ジレンマがたまらない

downwell02

敵を倒すと「ジェム」が飛び散り、これを集めると休憩ポイントでアイテムを購入できたり、ゲームオーバー時のポイントが加算されたりするので、積極的に集めていくことになります。しかし、連続でジェムを入手するとパワーアップする「ジェムハイ」というシステムのおかげで、急いでジェム取ろうとして焦って敵にぶつかってダメージをうける、という絶妙なバランス。これがジレンマ

す、すげぇ。これだけでちゃんと面白くなるんだ!と、感動してしまいました。

たったひとつのボタンに全てのアクションが集約されている

downwell04
ルールだけ聞くと「あーなんかよくあるタイプのゲームね」と思うかもしれませんが、ちょっと違います。このゲームのスゴイところ、それは「たったひとつのボタンにゲームの全てが詰まっている」ということです。

ジャンプ、滑空、真下への攻撃、敵を避ける、敵を踏みつける、これらの行動が全て一つのボタンに集約されているんです、すごくないですか。さらに言えば、ゲームの進行方向は真下。何もしなければ落ちるので、ステージは進む。そして、着地or敵を踏みつけると弾の充填。

一つのボタンに様々なアクションを集約させ、それらを着地という無操作(小休止)でリセットする。すごいよくできたゲームデザインです。結果、操作はシンプルなのに、意外にも頭を使う。何度も、遊びたくなる。遊べば遊ぶほど、奥の深さを思い知る。

パワーアップアイテムの選択

downwell03
途中で手に入れられる、種類の違うガンブーツや便利なアイテムは、銃弾や射撃のタイミングが変わったり、有利になったりしますが、その加減もこれまた絶妙。腕に自身があれば、アクションが有利になるアイテムを、そうでなければ体力が増えるアイテムを選ぶことができる。どれを選ぶか?今の自分に最適なアイテムはどれか?それを判断するのも、自分次第です。

あれ?この感じ、スプラトゥーン?

スプラトゥーン
一つのアクションに複数の意味を与えるゲームデザイン。これ、今年発売された「スプラトゥーン」に近い思想です。あのゲームも「隠れる」「高速移動」「インクの補充」などの行動を「インクに潜る」という1アクションに、「敵を倒す」「陣地を塗る」「隠れるポイントを作る」という行動を「インクを塗る」という1アクションに集約させています。

糸井さんのほぼ日において、岩田社長の口から語られた

「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」

という言葉。これはゲームの父、マリオの生みの親宮本茂さんの有名な言葉ですよね。これを上手くできていないゲームは、操作方法が複雑化し、できることもどんどん増えていき、濃密は濃密だけどゲームとしての気持ちよさとは離れていってしまう気がします。そういう意味では、DOWNWELLはゲームの始祖「スーパーマリオ」にも通ずるものを感じます。マリオも、ジャンプというアクションに「障害物を乗り越える」「敵を踏みつける」というアクションを集約させてますからね。

DOWNWELLはSteamまたはiPhoneで遊ぶことが出来ます。今年ベスト級のスマホゲームです。是非遊んでみてください。

Downwell

360円
(2016.01.11時点)

 App Store

posted with ポチレバ

Steamからダウンロード

この記事をSNSにシェア

feedly Feedlyで購読

この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

アクセスランキング