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【感想】著者がゲーマーなライトノベル「ゲーマーズ!」が予想以上に良かった

ゲーマーズ!

下手の横好きで何が悪い!

こんにちは!春の訪れと共に舞い上がる花粉に怯えるコウノ アスヤ(です。先日発売された「ゲーマーズ!」というライトノベルを早速読み終えたので感想を書きます。冴えないゲーマー高校生が、美少女が部長の「ゲーム部」に勧誘されるという「あー、やっちゃったー」感が漂う今作。ゲームが題材のラノベということで迷わず購入して読みましたが、はたして…?

ゲーマーズ!

趣味はゲーム。
それ以外には目立った特徴もなく、かといって平凡な日常を愛していたりもしない、真の意味でのモブキャラぼっち高校生、天野景太。
そんな彼が突然、生徒会でハーレムを宣言したり、ゲームであっても遊びではないMMO世界に閉じ込められたりするわけでもんかったのだが…。

「…私に付き合って、ゲーム部に、入ってみない?」

学園一の美少女でゲーム部の部長、天道花憐に声をかけらえるという驚くほどのラブコメテンプレ展開に遭遇。
ゲーム好きな美少女たちとのラブコメの始まりかとおもいきや!?

「生徒会の一存」シリーズで有名な「葵せきな」とイラストレーター「仙人掌」のタッグによるライトノベル。富士見書房による無料Web小説サイト「ファンタジアBeyond」で連載されている作品の単行本化第一号という事で、発売前から少しだけ話題になってました。

サクサク読める軽さの裏に、ゲーマーには刺さるテーマあり

結論から言うと、面白かったです。

ストーリーは単純明快な王道ラブコメで、シリアスな場面は殆どありません。イラストは可愛いし、キャラクターも立ってて萌えポイント高め。キャラ同士の掛け合いやギャグも面白いし、難解な表現も無くてストーリーもシンプルだからサクサク読むことができます。印象的なのは、「ゲームの面白さ」を登場人物が熱弁しているところ。時には子供っぽく、時には論理的に「あのゲームはここが良いよね!」「あのシーンすごい良かったよね!なぜなら…」という、ゲーマーなら1度は体験したことのある「あの」雰囲気が上手く表現されてます。それだけで読んでいて楽しいし、読み終わった後に、すごいゲームがしたくなる。読んだ後に「ゲームがしたくなる」のって、ゲームを題材にしたライトノベルなら大成功なんじゃないでしょうか。

テーマは「ゲームそのもの」ではなかった

読んでみればすぐにわかりますが、この物語は「ゲームそのもの」ではなく「ゲームが好きな人たち」にフォーカスがあたっているな、と感じます。上を目指して技術を磨くゲーム部や、そんなゲーム部に違和感を感じる景大。登場人物それぞれに譲れない部分があり、そしてみな一様に「ゲームが好き」だという構造。上手いなー面白いなーって思いました。

「好き」は人それぞれ!下手の横好きで何が悪い!

読む前からひしひしと感じていた「萌え媚び、ゲーマー媚びライトノベル」っぽさは、もはやある種の様式美に達してます。笑 しかし、むしろ露骨でわざとらしいほどな王道展開、キャラ属性の強調は、物語中盤のある出来事を際立たせる為のギミックにすら思えてきます。

たとえば、天道花憐がテンプレどおりの不器用ツンデレなのは、そのまま「他人の”好き”と自分の”好き”は同じはずだ」という思い込みと上手く合わさってる(それがキャラの魅力にもつながってくる)し、星ノ森千秋の引っ込み思案で意地っ張りな正確は「作品で自分を語るクリエイターの悩み」に繋がってきて、またそれが彼女自身の個性・魅力にもつながってくる。こんなふうに「何が好きか、どう好きか」は人それぞれ違っていて、そしてそれはそのまま人の個性・魅力に繋がってくる、という構造が、僕はとても好きでした。

ゲームが好きなのは分かるけど、ゲーム部の感じはなにか違う」という景太の気持ちは、そのまま現実の僕たちの「好き嫌い」の違いにつながってくる感じがして、読んでいてとても共感できました。ひとえにゲーマーといっても、「何が好きか、どう好きか」は人によって違うよなぁそうだよなぁ、と、萌えれるラブコメの裏に、ゲーマーなら共感できるテーマがありました。

舐めてました!ごめんなさい!

文章それ自体は、ライトノベルの域を出ない

とはいえ、全体としてはとてもおもしろかったのですが、不満点もありました。生徒会の一存の時も感じたことですが、地の文があまり面白くないです。ストーリー展開と、キャラクターのセリフ、そして個性はとても良いのに、肝心の地の文がとてもとても普通すぎて読み飛ばせるレベル。どうでも良いディテールを、急に長々と説明しはじめる所は好きになれませんでした。

ゲーマーは読むべき!

長々と書いてきましたが、とにかく、このライトノベルを舐めているゲーマーは1度読んでくれ!受け付けない部分や、納得出来ない部分はおそらく出てくると思うけど、この作品の根底に流れるゲーマーならではのテーマにきっとわくわく、共感できるはず。そして読み終わったあとに「あー!ゲームを遊びたい!」と思うこと間違いなし

オススメです!

ちなみに、5巻で読むのをやめてしまいましたが、同じくゲームが題材になっているライトノベル「僕と彼女のゲーム戦争」もオススメしておきます。
序盤の展開は非常に非常に似ています。笑
(こちらはどちらかというと、ゲームそのものがフォーカスされているイメージ)

数年前まで女子校だった高校に転入した少年、岸嶺健吾。周囲が女子ばかりというハーレム環境にもかかわらず、人づきあいの苦手な彼は、唯一の趣味である読書に没頭し、静かに暮らしていた。しかし、いままで無縁だった部活動に参加することになり、彼の高校生活は波乱万丈なものへと変わっていく…。彼が入部したのは、現代遊戯部―つまりはゲーム部。美人生徒会長や変態教師という心強い(!?)仲間に支えられ、岸嶺は思わぬ才能を発揮するのだった。平凡だった一人の少年の、刺激的なゲーマー人生が、いま幕を開ける。

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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