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メチャクチャ面白いのに2巻でストップしている幻のラノベ「絶深海のソラリス」を是非読んで欲しい

本日も超ゲームウォーカーにお越し下さりありがとうございます。コウノ アスヤ(です。

どんな人間でも定期的に読みたくなるもの、それがライトノベル。読みやすい文章とマンガLikeな世界観のおかげで、カジュアルに活字欲を満たしてくれる最高の媒体となっております。

先日、Pinterestをブラウジングしていたら、たまたま流れてきたとあるイラストに1発で心を射抜かれました、すかさずリンク元を辿ったところ、それは一冊のライトノベルの書影であり、その作品の名は「絶深海のソラリス」という名前でした。

絶深海のソラリスとは

目を奪われた1巻の書影。美しさと儚げさと不穏さを兼ね備えた奇跡の1枚。

「らきるち」という名前の作家によるSFファンタジー。「水使い」と呼ばれる能力者、そしてその水使いを生み出す新時代の“生きた”鉱石ソラリスを巡った物語です。

舞台は、急激な水面上昇で世界の大多数が海の底に沈んだ地球。生きた鉱石「ソラリス」は深海に存在し、水使いは水中や深海で呼吸を含めたあらゆる活動ができる能力を持ってるため、これを採掘したり救援活動を行ったりすることを生業としています。水使いになる為の養成アカデミーが存在するほどに、その存在は一般化しています。そんな世界観。

“水使い”それは22世紀の人類が生み出した“深海踏破の異能”―。山城ミナトは水使いの訓練生を指導する教官として、母校であるアカデミーに帰ってきた。そんな彼の教え子は二人。落ちこぼれでもマイペースな幼馴染の星野ナツカと、性格に難はあるが水使いとして至宝の才能を生まれ持つクロエ=ナイトレイ。時には反発を見せながらも前に進もうとする彼女たちを見て、ミナトは教官であることに楽しみを感じ始めていた。しかし、深海に沈む都市に“S.O.S”が鳴り響いた時―平和だったミナトの日常は終わりを告げる。“深海”ד絶望”戦慄の本格パニックノベルが登場。―この“結末”を、僕達はまだ、知らない。

王道の序盤に反して、中盤から始まる密室パニックホラー展開

この作品、物語序盤から中盤にかけてはとても王道な異能学園ものラブコメといった感じで、世界観やキャラクターの理解を深めながらサクサク読める感じです。とてもカジュアル。

とてもわかりやすく王道なキャラクター造形。騙されてはいけない

定石となった無気力系主人公とは少し違い、積極的に人に関わっていこうとする主人公「山城ミナト」や、ゆるふわドジっ子巨乳幼馴染で、かつミナトの生徒という(ラノベ的設定の)「星野ナツカ」。そして、金髪クォーターツインテールツンデレ -まな板- サブヒロイン「クロエ・ナイトレイ」など、登場するキャラクターは良くも悪くもラノベ的で親しみやすい。

しかし中盤移行、主人公ミナト率いる集団が深海にてとあるSOS信号を受信したその瞬間から、物語は予想のつかない展開が二重三重に押し寄せてくる神構成になってます。正直言うと、あらすじ以外の内容を書きたくはないんですよ!!!

ラノベ文化の文脈を逆手に取った手法に感服

これだけは事前に知っておいても問題ないと思うのですが、この作品、かなりあっけなくキャラクターが死にます

中盤〜後半にかけての怒涛の展開に度肝を抜かれる。扉絵がこれなのだから。

「え、嘘でしょ?」と思ってしまうような重要なキャラクターでさえ、あっけなく 退場。そして、霊体やら人工知能やらとなって再登場するようなこともない思い切り。オタク的商業作品としては極めて「常軌を逸している」ストーリーテリングです。でも、それゆえに面白い。

もちろん、キャラクターが死ぬ作品なんて無限に存在しますが、それをこの世界観とキャラクターでやってのける度胸が凄まじい。

「あー、そういう感じね。萌えるわー」「異能力シーンも、燃えるわー」と、ラノベ的王道、固定観念に囚われた読者を、キャラクターの死を筆頭とした「そんなこと起こるわけない」展開でぶっ刺してくる手腕。素直に、心の底から感心しました。超おもしろいです。このラノベ。

是非、事前情報なしで読んでほしい

ほんとは1ミリも内容に触れたくないけど、でもある程度はこの「神構成」を頭出ししないと、その辺の有象無象ラノベに埋もれてしまうんじゃないかというジレンマ…。

是非2巻セットで読んでほしい

たまに一人称と三人称がまざった変な文体になるものの、それを気にさせない展開でグイグイ読ませます。

こんなに面白いのに、なぜか2年前に刊行された2巻以降、音沙汰がない本シリーズ。作者のTwitterも2年前から更新が止まっており、MF文庫Jの公式サイトも更新がストップ…。ネット上には何の情報もなし…。2巻のあとがきには「次は近いうちにお会いしましょう」と言っているのに…なんなの!?なにがあったの!?2巻で綺麗にまとまったから満足なの?売れてないの?(たぶんコレ)

もう!なんとしても3巻が読みたい!今からでも遅くないから、この作品がリバイバル的に再ブームして3巻が刊行されることを望んでなりません。みなさん、ぜひ協力してくださいっ!!

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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