超ゲームウォーカー!

search

絵画のように美しく儚い世界を、浸るように遊ぶ「RiME」をレビュー

本日も超ゲームウォーカーにお越し下さりありがとうございます。@twiiterです。

僕は普段から色々な媒体の作品を広く楽しんでいますが、中でも美しい世界に浸れる作品は群を抜いて好きです。読み終わるのが寂しい小説、エンドロールでぼーっとしてしまう映画など、そういう作品は理屈抜きにして五感をブスっと貫いてくる強い針のような何かをもっている気がするんですよね。それ故に、マクロな視点で評価しようとすると至らない部分もたくさんあるような作品も多かったりしますが、それもまた味。

RiMEというゲームもまた、そんな「美しい世界に浸れる」タイプのゲームでした。

RiME

RiMEは、スペインのゲームディベロッパーTequila Worksが制作したアクションアドベンチャー。無人島の海岸で目を覚ました謎の少年を主人公に、森や遺跡など様々な環境を探検して自分と島の存在を探っていきます。

島の中には様々な遺跡が存在し、それぞれに仕掛けがあります。それをトゥームレイダーのララよろしく解きまくるのが純粋にゲームとして楽しいったらありゃしない。「わっ!」と声を出して仕掛けを発動する演出も、なんだかとてもセンスを感じます。

「わっ!」と声を当て、その音波の広がりで仕掛けが発動する。

操作方法もシンプルで、覚えることが少ないのも嬉しいです。「移動」「ジャンプ」「声を出す」ぐらい。動きたいように動ける。それだけでゲームから感じるストレスはかなり少なくなります。

操作方法はイラストで表現。おしゃれや…

美しい箱庭の中を探索し謎や仕掛けを解きながら進んでいくゲームシステムは、ICOやゼルダの伝説に近い感触です。アートのように美しいビジュアルと、壮大で扇情的なオーケストラのコンボで、遊ぶ者すべての心の琴線に触れにくるエモーショナル重視な作品だということです。(自分でも何を言っているのか…)

鮮やかな色合いでまるで絵画のようなグラフィック

ちなみにこのゲーム、もともと2013年に制作が発表されたんですが、そこからハードの変更やディベロッパーによる権利の買い戻しなど紆余曲折があった後に、無事2017年に発売されたというなんとも味わい深いゲームでもあります。長かった…笑

グッとくるゲームとは、このことだ

システムがどうとか、謎解きがどうとかよりもまず言いたい。このゲームはエモすぎる。

トゥーン調の温かいグラフィックで描かれた箱庭の世界が、ど直球で視覚を攻めてくる感じ。生い茂る木々や朽ちた遺跡、オーロラがかかった神秘的な星空など、つい冒険の足を止めウロウロしながらスクリーンショットを撮りまくってしまいました。

霊体?のキツネ。ことあるごとに主人公を導いてくれる

それだけじゃありません。テキストやセリフを一切使わず、ユーザーの解釈に委ねるタイプのストーリーテリングで想像力を歓喜され、踏みしめる場所によって足音が変わり、流れる水やそよぐ風の環境音で聴覚からヒーリングされ(ぜひヘッドホンで堪能してほしい!)、仕掛けを解いた時やイベントが起こった時にグッとフェードインしてくるオーケストラミュージックで、心の琴線を揺さぶってくるんですよね。遊びながら何度「ウッ(めちゃ良いな…)」と極まったことか。

オーケストラがフェードインし、空を見上げるとそこにはオーロラが…!

お約束「無機質な相棒」

球体に足が生えたような見た目をしている古代ロボットが相棒になる

ICOでいうヨルダ、Monument Valleyでいうトーテム、アニメでいうとラピュタのロボット兵のような存在って良いですよね。畏怖と愛着、そして哀愁を同時に感じる。そういうキャラクターは好みど直球なんですが、本作の中盤に登場するパートナー的古代ロボットとの絶妙な距離感もまた、とても素晴らしいものでした…。

動きだけで愛着を持たせるクリエイターの手腕は見事

存在そのものの危うさ、見た目の不気味さ、それでいて愛着のある動き。言葉を介さない一時的なパートナーとしてのお作法をよく守ってる感じで、ひとりぼっちの冒険にアクセントを与えてくれてます。(もちろん、最後にどうなるのかもお約束)

テキストを一切使わない…のが最適だったのだろうか?

最近になってかなり増えてきたテキストやセリフを一切使わないゲーム。僕はこれらを「ノンバーバル・ゲーム」と呼んでいますが、はたしてRiMEはノンバーバルゲームである必要があったのか?と感じてしまいました。

終盤になるにつてメッセージ性の強いシーンが増えていく

終盤になるにつれどんどん具体性を持ち始める世界観や、収集要素によって物語の肉付けを図ろうとしている点と、「テキストを使わない語り口」というのがどうもバッティングしている気がして、もったいないなと。明確にストーリーを語りたいのか、それともプレイヤーの想像にゆだねたいのか、いまいちバランスがつかめませんでした。

個人的にあちゃーと思ったのは、主人公がいくつかのシーンで(プレイヤーの意図と関係なく)露骨に演技をしてしまっていること。ノンバーバル・ゲームでキャラクターに露骨な演技(落胆したり、大喜びしたり)をされると、すこし覚めてしまうんですよね。せめてそこはあくまで、淡白で無機質なキャラクターであってほしい。プレイヤーはそこに作者の意図を感じたくはないのです…!

「浸る」タイプのゲーム

高低差のあるマップがとても楽しい。

収集要素があるので一概には言えませんが、総プレイ時間は5~10時間と短めなので、重い腰を上げずともサクっと楽しめると思います。それこそ小説を読むように少しずつ進めてもよし、目的なく歩き続けて景色を楽しむもよし。映画をみるように一気に遊んでもよし。とにかく、嗅覚以外の4感で浸るように味わえる素敵なゲームです。

PS4、Xbox One、PCで発売中のRiMEですが、この夏にはNintendoSwitch版も発売される予定です。値段も安く、ICOや風ノ旅人のようなゲームが好きな人なら間違いなく楽しめるゲームだと思うので、ぜひ一度遊んでみることをオススメします!

追記:2017/11/16(木)より、Nintendo Switch向けにも配信開始されました。

この記事をSNSにシェア

feedly Feedlyで購読

この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

アクセスランキング