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ローポリゴンで描かれる広大な世界を鳥になって巡礼する「AER Memories Of Old」で癒される

ゲームのルックスだけを見て、半ば一目惚れに近い感じでゲームを買うことがよくあります。要因はグラフィックだったり、キャラクターだったり、色使いだったりするんですが、とにかく自分の「好き」な見た目をしているゲームは、ビビっときたら速攻で買って遊んでみることが多いです。そういうゲームは往々にしてクリエイターのこだわりが強く反映されているものが多く、振り返ってみると気になるポイントはあったりするものの、優等生でパッとしないゲームよりも何倍も好きになります。

AER Memories Of Oldもそんなゲームのうちの一つ。トレーラーを目撃したその瞬間から一目惚れをして、内容を調べるまもなく購入し、一気に遊び終わりました。

はぁ、良かった。良かったぞ。

AER Memories Of Old

AER Memories Of Oldは、スイスのゲームデベロッパーForgotten Keyが開発した3Dアクションゲーム。大昔に起こった「大いなる分裂」によって神々の大地が分かたれ、島々が空に浮かんだ世界。そこで暮らす遊牧民の少女アウクは、創造神「カラ」の導きによって、世界を救う巡礼の旅に出ることになります。

鳥になり、自由に空を翔けることができる。

このゲーム、なんといっても特徴は、ローポリゴンを採用したハイセンスなグラフィック表現と、鳥になって空を自由に飛べるシステム。美しい音楽とともに気持ち良く空を駆け巡れるというだけで、他の要素なんていらないと思えるほどに気持ち良くて癒される感じがします。インディーゲームの金字塔「風ノ旅人」を彷彿とさせるアートワークに、無限に癒されてそのまま死にそう。

広大な世界から寺院を見つけ出す探索パート

本作は、大きく分けて2つのパートに分かれています。そのうちの一つ、このゲームのメインにもなっているのが、主人公アウクの「鳥になる能力」を駆使して、広大な世界を巡礼する「探索パート」。精霊が眠る3つの寺院を探し出し、そこに祀られた神様たちに「かけら」を授けてもらうのが目的になります。

遊牧民からは、寺院への手がかりを教えてもらうことができる。

遊牧民からのヒントと、画面上部に表示される方角だけを頼りに、世界を飛び回り寺院を探し出します。マップは容易されているもののかなり大雑把なので、高所から見下ろしたり、地面におりて歩き回ったりしながら、寺院への入り口を探すことになります。

見つけた島々がマップに描き足されていく。

もう、この探索パートがゆるーく楽しめて、癒されるのなんの。

いろんな動物がいたり、

かつてそこに人がいたであろう洞窟があったり

神を祀っていたかのような神殿や祭場を見つけたり。

とにかく、この広大な世界にポイっと投げ出されて自由気ままに飛び回る感じが堪らなく楽しく、そして癒されます。

寺院の奥に眠る神様を探し出す謎解きパート

寺院の中は、打って変わってかなり閉鎖的な空間になります。ここでは鳥に変身することはできず、自分の足で歩き回って謎解きをし、奥底に眠る精霊を探し出します。寺院の数は全部で3つしかない上に、一つ一つもかなり短いのでサクサク遊べるのがグッドポイント。屋外とはまた違った景色に、見とれること間違い無し。

ロウソクで祀られた石像や、

溢れる光が美しい、人工的な施設の廃墟、

人知を超えた古代文明まで。

それぞれの寺院に容易された謎解きはかなり簡単なので、ゲームに慣れてないような人でもすんなり解けると思います。謎解きというよりも、屋内探索みたいなところに比重が置かれているような気がしますね。

神話的世界観とローポリゴンの相性が良い

ゲーム内に登場する様々な石碑や書物、あるいは旅先で出会う精霊たちからその内容が語られますが、AERの世界観はとても神話的な作りになっています。創造主「カラ」によって作られた世界「神々の大地」と、人々の心の中に巣食う「虚空」という邪悪な存在。

ヒロイックな物語や、メッセージ性の強いストーリーテリングとは対局の、断片から世界の成り立ちを創造・保管していくタイプのゲームです。英語がめちゃくちゃ直訳になっているせいで少しわかりづらいのがマイナスポイントですが。

ローポリゴンだからこそ、抽象的な物語に違和感なく馴染む。

ローポリゴンという表現は、キャラクターの表情や細かいディテールが削ぎ落とされ、かなり抽象的なイメージに寄ります。それによって、視覚レベルでプレイヤーの創造の余地を残している感じが、神話的な物語とぴったり。ローポリゴンだから、突拍子もない物語も受け入れられ、抽象的な物語も美しく、スッと心に入り込んできます。

美しく、癒やされるゲーム

操作性がいまいち良くなかったり、実は空を飛んている時間より寺院を探索しているほうが長いんじゃないかという疑問があったりしましたが、総じて、美しくて癒されるセンスのあるゲームでした。総プレイ時間5時間程度で終わるくらいのとてもコンパクトなゲームなので、軽い気持ちで癒されに、あるいは、大作と大作のあいだの息抜きに、遊んでみてはいかがでしょうか。

AER Memories of Oldは、現在形Steam、GOG.Com、PS4(海外)、Xbox One向けに配信中です。

AER Memories of Old

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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