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100年前の史実が、ゲームの力で蘇る。第一次世界大戦がモチーフのゲーム「バリアントハート ザ・グレイトウォー」

バリアントハート

ゲームが好きな人たち=ファミコン世代以降の僕たちの中で、第1時世界大戦を経験している人間はおそらくいないと思う。
「コールオブデューティ」や「バトルフィールド」など、戦争をテーマにしたゲームは沢山あるけど、バリアント ハート ザ グレイト ウォーは、それらの戦争ゲームとは、かなり趣が違います。

なんかお洒落だな〜って思って遊んでみたけど、かなりグッっとくるゲームでした。

バリアント ハート ザ グレイト ウォーとは

バリアントハート
バリアント ハート ザ グレイト ウォーは、戦争をテーマとしながらも、スリルや悲劇をコミカルに楽しめる2Dパズル・アドベンチャーゲーム。
2014年7月にUbisoftからリリースされてから、約1年間、様々な場面で好評価を獲得しています。

物語の舞台は第一次世界大戦まっただ中のヨーロッパ。
分かたれた2つの国の間で、4人の登場キャラクターと一匹の犬の人生が複雑に絡み合いながら、時代という抗えぬ運命に立ち向かう。
彼らは、不発弾が潜む塹壕戦や虐殺的な毒ガスの雨など、絶望的な状況でもなお、愛する人や信じるモノのためにその身を戦争に投じていきます。

謎解き
ゲーム自体は、2Dの横スクロールパズルアクション。
とはいえアクション性は低く、「この仕掛を解くために、あのアイテムを持ってくる」といったパズル的要素が強めです。
感覚としては、「ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島」に近いかも。

4つのエピソード
物語は4つのエピソードに分かれていて、それぞれに4〜5つの章が用意されています。
章によって、塹壕や旧市街、地下道など、多種多様なステージを遊ぶことができ、コミック調のグラフィックも相まって絵的にとても面白い。
時には残酷な描写もあるけど、この絵柄と語り口がそれをマイルドに仕上げてくれています。
不謹慎じゃないのに、戦争がテーマのゲームで笑えるってすごいことです。
駅
アンナと塹壕

4人と1匹をザッピングしながら進む物語

バリアントハートは、4人の登場キャラクターと一匹の犬を交互にプレイしながら物語を進めていきます。
キャラクター毎に背景とストーリーが存在するので、人によって思い入れのあるキャラクターが変わってくるのが面白い。

エミール

フランスの鉱山労働者の家に生まれた男性。
自らの生活をひたむきに仕事と信仰と娘の成長に捧げていたエミールだったが、宣戦が布告された直後の1914年8月13日に軍隊に召集される。そして西部戦線に派遣され、最初の戦いで敵に拘束されて捕虜となる。

本作のチュートリアルステージは、彼の入隊訓練の様子を描いたものである。
エミール

カール

ドイツの小さな村で生まれた男性。
カールの家は非常に保守的で厳しかったため、16歳で家を離れ、ベルギーとフランスの工場や農場で働くようになる。
エミールの娘マリーと恋に落ち、二人の間には子供が生まれるが、すぐに戦争が勃発し、カールはフランスを強制退去させられてしまう。

カールと森

フレディ

アメリカ合衆国出身の男性兵士。
蒸気船王の娘と駆け落ちし、フランスへ旅行に行っているときに開戦を迎える。自分たちの幸せを邪魔したドイツ軍に復讐すべくフランス外人部隊に入隊した。

フレディ

アンナ

ベルギーのイーペルで、軍需品工場員として働く女性。
イーペルが占領され、父がドイツ軍に強制的に協力させられているという知らせが届くと、戦争による不幸な人々を助けるために、恵まれた自らの境遇を捨てアンナはパリを発つ。
それは第一次世界大戦を象徴する戦い「マルヌ会戦」が行われている最中のことであった。

アンナ

ウォルト

ドイツ軍でドーベルマンの衛生犬として、訓練を受けて育てられた。
第一次世界大戦では、手紙の運び手、警戒犬として約3万匹の忠実で有能な犬が働いた。ウォルトも同じく働いたうちの一匹である。
戦争が始まってすぐにドイツ人の飼い主とはぐれたウォルトは「バリアント ハート」の登場人物たちを紡ぐ重要な役割を担うこととなる。

スタッフが見つけた写真資料に写っていた犬がモデルとなっている。
ウォルト

戦争をコミカルに描く

コミカルなエフェクト
割りとリアルに戦争のディテールを描く今作ですが、コミック調のアートスタイルとパズルアクション的なゲームスタイルによって重くなりすぎていないのが嬉しい。
とはいえ、サウンドトラックやストーリーには切なさが満ちており、登場人物たちの生き様には心を揺さぶられる。
というかサウンドトラックがとても良い。綺麗で切なくて力強い。
遊び始めるまえに「是非ヘッドホンで遊んでください」と出てくるだけある。

史実を元にしたリアルな物語

史実を元にした物語
描かれる物語は史実が元にされていて、国間の塹壕や、一面に落とされる毒ガスなど、登場する舞台やシチュエーションは実在のものがモチーフ。死への恐怖、友を失う悲しみ、生を感じる喜び、様々な感情が豊かに描かれてます。
やっぱり、文字や絵だけで学ぶより、ゲームとして体験するほうが、実体験として残りやすい
この構造は、イヌピアットの伝承をゲームにした「Never Alone」を思い出しますね。

教材レベルのTips

Tips
史実
また、ステージ中に散りばめられたアイテム=Tipsによって、当時の重要な資料や歴史が紐解かれていきます。
当時の兵士達がよく使っていた道具や、戦場から家族へおくった手紙のレプリカなどを通して、戦争を忘れてはならないという警句、そしてそれでも尚強く生きようとした当時の人々を思わざるを得ない。

比較的簡単なパズルアクション

仕掛け
パズルアクションだが、難易度は低めです、ゲーム初心者でも難なくクリアできると思います。
逆に言えば、アクションやパズル経験者にとっては、少し退屈に感じるかもしれません。
とはいえ、仕掛けや障害を乗り越えた時に感じる達成感はあるので、普通に良パズル。

テキストを用いない演出

絵だけで説明する
テキストを用いない演出も秀逸です。
プレイヤーへ促すアクションや、キャラのリアクションは全てイラストと図形で表現されるので、文字を読むストレス無しにゲームをスムーズに勧められます。
言ってしまえば、言葉が分からなくてもプレイできるってこと。戦争を扱ったゲームの手法としては大正解じゃないでしょうか。

戦争ゲームとしての存在価値

教材
公式ページなどを見ても、バリアントハートのチームは、このゲームを通じて戦争の様々な面を集約的に表現しようとしているのが分かります。「知ってる?コーナー」などを見ても、「知る」ことが1番の学びであると同時に、「学ぶ」のに最適な媒体もまたゲームであると、感じます。

間違いなく、遊ぶ価値はある

ゲーム=楽しいこと、という認識はもちろんありますが、バリアントハートは、しっかりと戦争の悲惨さやむごたらしさを描き切っていると言えます。(もちろん、あくまでゲームですが)
そこには、単にネタとして戦争を使ったのでは決してない、ゲームが人に与える力を信じているからこそ、生まれた作品があります。
戦争があったのは1914年。まさに100年たった今、その事実は僕たちの中にゲームを通して現れたとも言えるでしょう。
すばらしい!

バリアント ハート ザ グレイト ウォーはPS4,PS3,iOSで発売中です。
バリアントハート公式サイト

Valiant Hearts: The Great War

無料
(2016.01.11時点)

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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