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レビュー「キングダムハーツ3」─強引なシナリオ運びでパーになった16年分のカタルシスを思ふ

スクエニとディスニーがコラボ!13年ぶりのナンバリングタイトル!ダークシーカー編が完結!アナ雪やベイマックスが登場!

…キングダムハーツ3は、昨今の様々なAAAゲーの例に漏れず、発売前から多くの宣伝文句をその身にまとった大型タイトルとなった。ただ、結論から言ってしまうと、本作はそういった「キングダムハーツシリーズの最新作」に求められる及第点を、まるでToDoリストを捌くかのごとくサクサクとDoneしていくような作りになっていて、個人的にはあまり褒められたものにはなっていないと思う。

いや、僕だって褒めたかったのだ。闇の世界に取り残されたアクアの救出は、彼女にのしかかる10年という年月の寂寞を打ち晴らす展開になって欲しかったし、ロクサスもシオンもナミネもヴェンもテラもみんな、納得のいく形で区切りをつけて欲しかった。でもなっていなかった!こんなまとめ方では僕は納得できない!

各ワールドの出来栄えもアクションの派手さもシリーズの集大成的な出来栄えを魅せていただけに、つくづく物語の非道さに僕は呆れてブログも書けないよ。

書くけど。

キングダムハーツ3

キングダムハーツ3は、2019年1月25日にスクウェア・エニックスから発売されたアクションRPG。2002年にディズニーとスクウェアのコラボタイトルとして誕生した1作目「キングダムハーツ(PS2)」から16年、2005年に発売されたキングダムハーツ2(PS2)から換算すると、6本のスピンオフをあいだに挟みながら、実に13年ぶりの正当な続編となった。

過去作のストーリーを復習できる公式サイトのコンテンツ「IIIに繋がる物語たち」

本シリーズは、元となるディズニー作品の世界にオリジナルキャラクターが入り込み、原作を追体験しながら冒険するという構成がお約束で、これはシリーズ全作を通して変わっていない。ただ、キングダムハーツのオリジナルストーリーに対するディズニーワールドの扱いは作品毎に違っており、特に2作目のチェインオブメモリーズ以降は、やや「ディズニー要素」と「オリジナル要素」の関係性が弱くなってきているのは否めない。特にオリジナル要素の代名詞である「XIII機関」を軸にしたストーリーは、シリーズを重ねる毎に「実は○○でした」「このあと○○に繋がります」といった「後付け」や、散りばめた謎を次回作に持ち越す手法を多く用いるようになり、それを成立させるためにまたオリジナルキャラクターの人数が増えてゆき、そしてその相関図もどんどん複雑なものになってきていた。

XIII機関 – キングダムハーツ2

そんな状況だったので新規のファンが遊び始めるにはやや敷居が高いシリーズになってきていて、スクエニ側もそれを危惧したのか、本作キングダムハーツ3では1作目から増改築を繰り返しながら描かれてきた「ダークシーカー編」と呼ばれるストーリー群に、一度終止符が打たれることとなった。

作り込みが素晴らしいディズニーワールドたち

「塔の上のラプンツェル」より、キングダム・オブ・コロナワールド

3の話に戻そう。本作で特に光っているのは、シリーズ恒例のディズニーワールドのラインナップとその完成度であることは明白だ。昨今のディズニー作品の映像技術はもはや雲の上レベルだが、スクウェアエニックスの叡智を集結させたグラフィック技術は、どのワールドも原作のイメージを全く損なうことなく、かなりハイレベルな映像を実現できている。そのおかげで、SNSにシェアしやすい作りになっていたカメラ機能がとてもゲームプレイに効いていたように思う。キャラクターたちがみんなカメラに反応してくれるものだから、数百枚を超えるスクリーンショットを撮ってしまった。

また、遊びとしての快適性に疑問は残るものの、ザ・カリビアンでは船を使った海上戦を、サンフランソウキョウではオープンワールド風の遊びを用意するなど、ワールド毎に遊びのバリエーションに差が出ているのも僕は好きだった。

フォトリアルなグラフィックに様変わりするパイレーツオブカリビアンワールド「ザ・カリビアン」

作品毎にグラフィックの感じが変貌し、原作の世界観にマッチしたルックスになる点も素晴らしいかったし(特にパイレーツオブカリビアンのワールドは必見)、アナと雪の女王ワールドにおける「レリゴー」の再現度には目を見張るものがあった。

ただし、個人的にはアナと雪の女王ワールドである「アレンデール」の仕上がりには疑問を呈したい。ソラが本筋にほぼ介入することなく雪山を繰り返し登山するだけの単調なステージ構成であるうえに、ダンジョン部分はXIII機関が生み出したオリジナルの氷城だからだ。「レリゴー」再現は確かに凄いが、凄いだけでゲーム本編にはなんの貢献もしていない。

シナリオの結末ありきで舞台装置に成り果てたキーキャラクターたち

本作でひとまずの集結をみた「ダークシーカー編」だが、正直なところ今回のシナリオは、完結編として最低の仕上がりである。

終わりがハッピーエンドであれビターエンドであれ、当然僕たちは各キャラクターに相応の結末を求めていたし、公式もそれを謳っていたはずだ。だが蓋を開けてみれば、目覚めの力を求めて各ワールドをだらだら旅する間延びしたシナリオがゲーム終盤まで延々と続き、丁寧に描かれて然るべきだった多くのキーキャラクター達の物語は、ラスト数時間に詰め込まれた怒涛のデモシーン・ラッシュで強引にまとめあげられてしまった。全体的に描写不足なせいで、見せ場における各キャラクターの行動には全然筋が通っていないし、なんなら性格も都合よく改変されていると感じてしまうレベルだった。

徐々に集結していくシリーズキャラクターたち

各ワールドの作り込みが素晴らしかったが故に、なぜもっとゲーム全体を使ってストーリーを語らなかったのかが疑問でならない。上手くやっていれば、何年もかけて積み上げてきたカタルシスを解放して、最初から最後まで、ずっと見せ場が続くような作りにだってできたはずなのだ。

そういった意味では、振り返って第1作目の「キングダムハーツ」のシナリオはとても上手くやっていたんだなぁと、再確認できたことだけが本作の取り柄だろう。

簡単な操作で楽しめる派手なアクション

ディズニーとの上質なコラボレーション、そしてオリジナルストーリーの没落という二柱のインパクトに隠れてしまっているが、本作のアクションRPGとしての出来栄えは、よくも悪くもシリーズの集大成として花開いている。

ド派手な演出で敵を一掃する「アトラクションフロー」

○ボタンを連打していればオートターゲットで敵を倒していけるし、遊園地のアトラクションをもした「アトラクションフロー」や、歴代ディズニー作品を召喚獣のように呼び出す「リンク」などの全体攻撃で派手に楽しめる点は、間違いなく本作の魅力のうちの一つだ。

ただ、少し厳しい見方をするならば、一度に敵が大量に出現する割りに基本攻撃が単体向きだったり、アトラクションフローやリンクの発動条件や、なぜその技が使えるのか、といった説明が不足している部分はマイナスポイントだと感じる。よく言えば簡単な操作でなんとなく操作していても楽しめるが、悪く言えばとても単調だ。もっとも、スピンオフならまだしも、大衆に向けたナンバリングタイトルで硬派なアクション要素をどこまで求めるのかという話になってきてしまうのが…。

髪を駆使したラプンツェルとの共闘

良くも悪くも集大成

結局のところキングダムハーツ3というゲームは、そこまでアクションRPGとしての質を求められるゲームではないのだ。本質的にはディズニー作品とファイナルファンタジー作品のコラボレーションを楽しむゲームであり(3には何故か出てこなかったが…)、そこに登場する魅力的なキャラクターたちと世界観の行く末が何よりも僕の求めるところであった。

だからこそ、カメラワークが悪すぎるとか、無駄にミニゲームが多いとか、細々とした不満点は他のゲームに比べて比較的許せるのだ。シークレットムービーの解放に必要な「幸運のマーク」なんて、某リゾートパークの隠れ○ッキーそのものだが、それでもディズニーワールドを歩き回れるゲーム性とマッチしていてとても好きだった。

自撮り可能なカメラ機能

やはり、シリーズの始まりがそうであったように、このシリーズには「シナリオ」を求めたかった。ソラの成長と各ワールドの原作が描くテーマが良いバランスで絡み合い、それがしっかりと、全体として進んでいく壮大なシナリオの一端を担っていて欲しかったのだ。

完結したものの全然完結していない本シリーズの次回作は、是非ともそこのところのバランスがしっかりとれていることを願う。

キングダム ハーツIII – 公式サイト

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この記事を書いた人

asuyakono

コウノ アスヤ

1992年生まれ、岡山県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科を卒業した後、都内でデザイナーとして活動中。小さい頃からゲーム好きで、四六時中ゲームのことを考えている。

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