大量廃棄されたゲーム版「E.T.」を発掘せよ!ドキュメンタリー映画「ATARI:GAME OVER」が面白い!
コンニチワ。コウノ アスヤ(@asuyakono)です。
原初のアーケードゲーム「PONG」を生み出し、ゲーム業界の親と呼ばれている伝説のゲーム会社ATARIをご存知でしょうか?知ってる?すみません!
じゃ、じゃあそのATARIをテーマにした映画「ATARI:GAME OVER」は知ってますか?ゲーム人気を底上げした功労者でありながら、ゲーム文化を衰退に引き込んだ元凶だと呼ばれているATARI社を追ったドキュメンタリー映画です。もうタイトルからして、明らかに万人向けでは無いのが明らかですが(笑)、ゲームが好きな人、ゲーム史に興味がある人、レトロゲーが好きな人は絶対見たほう良い映画です!ご紹介します!
知っておこう。ATARI
ATARIとは、世界で初めてビデオゲームを作るために設立されたアメリカのビデオゲーム会社です。原初のビデオゲームPONGを生み出し、ビデオゲームの父と呼ばれている「ノーラン・ブッシュネル」により1972年に創業されました。
「ATARI」「PONG」そして「ノーラン・ブッシュネル」は、ゲーマーを自称するなら知っておかなければ人生ゲームオーバーなぐらい重要な3種の神器です。言いすぎかもしれませんが、ゲームの歴史を語る上では必ずといっていいほど登場しますし、このような映画が作られていることからも、この3ワードがゲーム史において超重要なのは確定的に明らかです。
そして、もうひとつ。史上最悪のクソゲーと呼ばれたゲーム版「E.T.」の存在は、ご存知でしょうか。
ATARI:GAME OVER
1980年代初頭に発売されて社会現象を巻き起こしたTVゲーム機ATARI 2600。その専用ゲームとして1982年のクリスマスシーズンに発売されたゲーム「E.T.」 大ヒットした映画のゲーム化ということもあり、世間は大注目していたが、フタを明けてみると史上最悪のクソゲーと評される。またたくまに世間の評判はガタ落ちし、在庫は余りまくり。困ったATARIは大量の在庫をニューメキシコのアラモゴードと呼ばれる街の砂漠に埋めたと言われているが…?
この映画は、そんなATARIの栄枯盛衰を追ったドキュメンタリーです。
ATARIの犯した罪と罰?
映画は、ゲーム版E.T.を発掘しようとする現代の人たちを追うシーンと、ATARIの歴史を深掘っていくインタビューが交互に挿入されながら進みます。発掘フェーズは、ATARI好きな考古学者の力を借りながらどこに埋まっているのかを探っていくちょっとした謎解きっぽくなってて面白いし、インタビューフェーズはノーラン・ブッシュネルを始めとして、E.T.を作ったハワード・ウォーショウなど沢山の人たちの言葉を聞くことができて興味深い。
誇大なレッテルのせいで、真実が隠されてしまったゲーム版「E.T.」。その背後に隠れていたのは、ATARIによって盛り上がりを見せたにも関わらず、おなじATARIのE.T.によって盛り下がってしまったゲーム業界の歴史でした。
印象的だったのは、インタビューに応える人たちはみな主張がバラバラだということ。「E.T.はクソだよ」というゲーマーが登場したかと思えば、「あれは決してクソゲーなどではい」と擁護する業界人が登場したりして。「◯◯は、☓☓である」という風ではなく、観た人に投げかけてくるような作りになってました。人によって感想が変わってきそうですね。
短くて見やすい、内容も分かりやすい
1時間と短めの内容ながら、その内容はマニアックでかなり濃密でした。実は僕も「ATARIの作った史上最悪のクソゲーE.T.」というまさに映画内で連呼されるレッテルそのままに認識していたので、ATARIの歴史やE.T.の成り立ちを知った事でかなり知識が深まりました。といっても、やはりユーザーが遊んでナンボなので、いくら裏側を知ったところでクソゲーはクソゲーだと思いますが(笑)
E.T.というゲームを軸に、色々な人たちの言葉や気持ちが交錯しているATARIの歴史は、映画にして正解だったんだなと思います。限られた環境のなかでより良いモノを作ろうとするゲームクリエイター達の誇り、そしてそんな裏側は全くユーザーには関係ないという厳しい現実。僕は観終わった今、ATARIという会社がより一層好きになりました。果たしてE.T.は大量発掘されるのか?ATARIは本当にE.T.を大量廃棄したのか?その結末は、是非自分の目で確かめてみてください。
ちなみにDVD版には、研究家の黒川文雄さんがノーラン・ブッシュネル本人に直接インタビューするという日本オリジナルの映像特典が付いているんですが、これもかなり面白かったのでDVD版をオススメします。安いですしね笑
おまけ
黒川文雄さんによる連載『「ATARI GAME OVER」への道(全十回)』
なんと、いま流行りのNetflixでも観ることが出来ますよー。
アタリ:ゲームオーバー | Netflix